盛岡市 片岸なお子
アラームは午前3時。
(うっそ、さっき寝たばかりやん‥)
この絶望的な眠たさ。
(無理無理無理無理無理無理無理‥ッキショー!コロすなら殺せーー)
布団を蹴り上げた。
そうだ、にしわが!白い朝靄の水没林に抱かれる日を心待ちにしていたじゃないか!
しからば大自然西和賀様に敬意を表して、スッピンで行くことにしよ。本当はハダカで行くのが礼儀のような気さえしているが。
というわけでのっけから廻戸川でカヌーに乗ってる朝。今日のはじまりすばらしい。
初めてのカヌーではないけれどちゃんと漕げるか少し緊張。。
ええっ?漕がなくていい?
そんなハバナヘブンがあるんダー。うれしいなあ!
先頭にダンナ、後方にネビラキの瀬川然さん。2人の殿方にはさまれた私をキビタキやタゴガエルがやたらからかうのやめて(//∇//)
スーーーーーーーーーィ
逆らわず、やわらかく、ぶれない、然さんのオールさばきはまるで人柄。
スィーーーーーーーーースーー
「…や、バ。なにこれー。
現実と異界のはざまをすべってる?水って鏡なの?鏡って水でできてたの?デカルコマニー(写し絵)の魔力すごすぎー。ヤバヤバこのまま廻戸(マット)川の魔界に引き込まれンじゃね?殿方にはさまれている私を嫉妬した悪い魔女にカジカガエルにされるってそういうやつか!」
まくし立てる私に殿方二人はどこまでも無言というダイアローグ。
鮮やかな赤色が浮き立つ橋りょう近く、ここまで来たよ。
黄緑の生地の真ン中を、ジッパーよろしく白い小さな電車が行く。(ばーいばーい!!)子どもの頃のように叫ぶ。
子どもになる。2時間のゆったりコースを選んでよかった。
組織とか規制とか社会とか、大人の常識的な日常はどこか別な世界のお話しだったって、そう思うほど浸りきる。
わらいささやくうたう風を思い出す。清涼な雪解け水を、心にいっぱい流し込みたい。
地の風土を静かにアテンドする然さんは、木のような気配がする。何にも寄りかからずそこに、在る。
木の人は、アオダモの白い花が咲く木の下にカヌーを停めた。やおら、オールをテーブルにして、ポットからカップに熱い紅茶を注ぎ入れた。わー♡♡♡なんて至福のティ・タイム♪
それにしてもこの紅茶と一緒に手渡されたサクサクしたクッキー、すごく美味しい。ゴマが入ってるけど、ラング・ド・シャだよね。手元の袋を見る。
「欧風田舎せんべい」って書いてる。欧風クッキーなのか、田舎せんべいなのか、(どっちなんだ!)
どれもこれも、ときめかせるにも程がある、にしわが様♡
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