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異世界体験した話[2019/5/28 6時〜8時]

宮城県大崎市 庄司健 20代 男性


テレビやネットで「感動」「悲しみ」といった刺激にあふれた社会に慣れてしまうと、普通の刺激では物足りなくなってくる。確かに世の中は便利になっているが、私たちが本来接し、感性を豊かにしてくれる自然との距離は遠くなるばかりだ。昔から自然を相手にしたボーイスカウトの活動をしている私でさえ、仕事のほとんどをパソコンで行い、スマホを中心にした生活にどっぷりつかってしまっている。私が西和賀に月1回以上、足しげく通ってしまうのは、そんな生活から「デジタルデトックス」したいと無意識に感じているからかもしれない。


5月下旬、去年に続いて西和賀町の廻戸川・錦秋湖でのカヌーに参加した。ガイドは去年同様然さんだが、今年からは、然さんが代表を務める「ネビラキ」の事業としての開催だ。結論から言って、非常に素晴らしい体験だった。朝の凛とした空気の中、廻戸川響き渡るカエルの声、トリのさえずり、木々が揺らめく音など、普段聞く電子的な音とは異なる自然のBGMである。また、然さんのガイドも昨年よりアワーアップしていて、生き物の種類や樹木、花の名前・特徴、天候や時期でそれらの表情も変わることなど、興味深いお話ばかりだった。その後、昨年は行けなかった錦秋湖にもカヌーは進んでいった。いつも道路から見ている光景とは違う、景色が湖面に反射している光景に心を奪われた。思わず湖に飛び込んで、仰向けに浮かんで居たいくらいだったが、それはまたの機会にしよう。いつも西和賀に来るとき、車から湖は見えていたはずだが、湖からは車がほとんど気にならず、森が雑音を吸収してくれているかのようだった。時に猛威を振るう自然だが、やはり理解・共生しようと歩みよれば、こんなにも素晴らしい体験をもって心を開いてくれると感じた。何よりも、1カ月以上カヌー体験を提供している然さんが「今日もいい朝だ」と何度も口にしていたことが、このカヌー体験がいかに素晴らしいかを表しているだろう。


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