岩手県盛岡市 Y.E 女性 2019/05/19 9時〜10時体験
出会いは一枚のポスター、『錦秋湖をめぐる春の水没林カヌーツアー』が目に留まった。
それも開催期間は“1か月限定”だという、“限定”ものにはめっぽう弱い。 既に5月半のこのタイミングだからほぼ即決。
“水没林”とは何かを知らずにいた、 文字から予測は可能だが何故だか“スイボツリン”土に植えてある木が水没するとは…尋常でなく気の毒な感じさえする。 そして、そもそもかつてカヌーに乗ったこともないはずだったが、ノリのよい友人の賛同を得て、主催者ネビラキの瀬川さんへ予約を入れた。
錦秋湖を目指すのは初めて、Googleでチェックすると盛岡中心部の自宅から約2時間のドライブ予定だったが、実際、県道1号線から107号を運転すると1時間15分程で到着。 想定外の時短に幸先が良く気持ちは上がっていた。 予め説明されていたとおり カヌーは3人乗り(ガイドの瀬川さんと友人と私)、積極的にオールをコントロールする必要はなさうだが 池のボートしか漕いだことがない私たちにカヌーのオール使い基本を教えて頂く。“腕は90度に曲げるのがポイントか…”、1時間のコースで、いざ出発!
水面をスムーズに進むと(ちなみに、自分でコントロールしていない…)、目の前は柔らかな初夏の光を浴びた西和賀の新緑の木々に囲まれた。 瀬川さんの説明により水面にはぶなの木から落下した“ガリン”(芽鱗:一つ言葉を学ぶ)やクルミの花が浮かんでいる。 BGMは野鳥のライブ、カッコウは森への侵入者への独特の警戒音とバラエティに富む。どことなく異国情緒を感じさせる響き“マッド” (廻戸)川、その奥へ入って行くと 私たち3名を乗せたカヌー以外には来訪者不在。 ここではの空気感・音・動きと全てが日常の生活からすっかり切り離されていた。
水没林やその全体の風景、約2か月間を雪解け水に浸かる樹木は生命力たくましく芽吹くそう。 これほど美しい景色を創りだしていたとは、この空間を独占できたひととき。 初夏の緑をたたえた木々、岩肌、滝を映す水面がこれほど綺麗で引き込まれてしまうとは…言葉に尽くせない。 目の前の眺めがすっかり水面に映されていてどちらが本物か、クラクラして倒錯してしまいそうだった。 この風景に出会え、人生に宝物が増えた。 また、戻る途中、ひときわ印象的な声…何かしらと思ったら水面から少し上をシャープに飛ぶ鳥との出会い、“カワセミ”だという(なんという幸運!)…私たちのカヌーを横切り、しばし周回しながらその鮮やかな青い翼で魅せてくれた。
岩手の宝を自慢したい気持ちが湧き上がる。一方、同時に賑わいで静寂感を壊されたくないエゴにも揺れる。
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